今回は、「遺伝子組換えやゲノム編集は、何が問題なのか」を知れた日本消費者連盟の講演会の感想をまとめます。
遺伝子組換えやゲノム編集は、人体にも環境にも悪影響を及ぼす可能性がある!と私は発信しています。
しかし、「何が」問題なのかよく理解できていなかったのが、正直なところ…
私のように何となくイメージで、遺伝子組換えやゲノム編集を避けている方は多いでしょう!
「遺伝子」って聞いただけで、アレルギー反応でちゃいますよね…
私も、今まで学ばなきゃな~と思いつつ、後回しにしてきました…
そんな時に、生活クラブが日本消費者連盟の講演会を企画してくれたので、参加しました!
私が理解した内容を、できるだけかみ砕いてまとめますね~
- 無添加生活5年目
- 病院管理栄養士の経験あり
- 遺伝子組換えやゲノム編集をできるだけさけている主婦
遺伝子操作の目的と種類
まず、そもそも遺伝子操作は何のために行われているのか紹介します。
ざっくりいうと、より良い食品を作るため!
「昔のミカンはもっと酸っぱかった」、「昔のトマトはもっと青臭かった」と聞いたことはありませんか?
これらは、今の果物や野菜がおいしくなったと表現される例え話ですよね!
果物や野菜がおいしくなったのは、昔から繰り返されてきた伝統的品種改良の賜物と言えます!
また、品種改良はおいしさだけでなく、病気になりにくくすること、収穫量を増やすことなども目的に行われてきました。
その後、科学技術の進歩を食品にも生かされたのが、遺伝子組換えやゲノム編集!
ゲノム編集は、品種改良や遺伝子組換えより、効率よく狙った通りの食品が作れます!
以下、表に遺伝子操作の種類をまとめますね。
品種改良は、育種といいます!
学んだこと・感じたこと
遺伝子操作の種類が多いことに驚きました。
私が学んだことは以下の3点!
- 突然変異育種で作られた作物は、数多く流通している
- 放射線育種で作られた作物の届け出制度がない
- 放射線育種は、自然界で起こることがある
突然変異育種で作られた作物は、数多く流通している
「突然変異育種」で作られた作物は数多く流通していることに、驚きとショックを受けました。
有名なお米や梨が、突然変異育種で作られた作物でした…
この機会に知れたので、どんな作物が当てはまるのか調べてみますね!
放射線育種で作られた作物の届け出制度がない
「ゲノム編集の規制と表示」でも解説しますが、ゲノム編集には届け出制度がありません。
そして、放射線育種で作られた作物にも届け出制度がありません。
届け出制度がないから、私たちが知らないのも当然…
ゲノム編集を推進派の中には、「放射線育種の届け出をしてこなかったから、ゲノム編集も届け出しなくてよい」との意見を持っている人がいるそうです。
講師の方は、「放射線育種も、ゲノム編集も届け出や表示を義務付けるべき!」とおっしゃっていたのに、共感しました!
放射線育種は、自然界で起こることがある
放射線によって、自然界の植物の遺伝子が傷ついて変異することがあると、初めて知りました。
遺伝子組換えやゲノム編集推進派の中には、自然界で起こることだから、意図的に行っても問題ない!と意見を持っている人がいるそうです。
講師の方は、自然界の現象であっても悪い成分ができてしまっている可能性は考えられる。
自然界で起こるから安全と判断する方が危険とおっしゃっていました。
遺伝子組換え食品とは
次に、遺伝子組換え食品を解説します。
遺伝子組換えとは、異種生物の遺伝子を宿主遺伝子に挿入する技術。
その技術で作られた食品が、遺伝子組換え食品です。
簡単に言うと、他の生物の遺伝子を組み込んだ食品のこと!
代表的なのは、特定の除草剤(グリホサート)で枯れない大豆ですよね。
大豆に、グリホサートを分解するたんぱく質(酵素)を作り出す遺伝子を組み込んだ結果です!
遺伝子を組み込む方法は複数あるが、どれも運任せで効率が悪いそうです。
遺伝子組換え食品の問題点
遺伝子組み換え食品の問題点を、2つに分けて紹介します。
- 人体に対する安全性
- 環境に対する不安
人体に対する安全性
遺伝子組換え食品の問題点は、有害物質ができる可能性があること!
実際に、トリプトファン事件というサプリメントに死亡者が出るほどの事件があったそうです…
遺伝子組換え食品の問題点は、「安全性」の確認方法!
遺伝子組換え作物の安全性審査は、「実質的同等性」だけ!
医薬品や添加物は、動物実験がされるのに対して、遺伝子組換え作物は動物実験がされない
実質的同等性審査でわかることを、詳しく解説しますね!
- 挿入遺伝子がつくるたんぱく質の消化性
- 挿入遺伝子が作るたんぱく質のアレルギー性(既知アレルゲンとのアミノ酸配列相同性をコンピュータで比較)
- たんぱく質、脂質など既知の主要成分の変化(微量元素は分析不可)
かみ砕いて解説します!
①挿入遺伝子がつくるたんぱく質の消化性
組み込んだ遺伝子がつくったたんぱく質が、「人の消化液で消化できるか・分解できるのか」を調べること。
お腹の中で消化できるかを、試験管の中で確認しているイメージです!
②挿入遺伝子が作るたんぱく質のアレルギー性(既知アレルゲンとのアミノ酸配列相同性をコンピュータで比較)
組み込んだ遺伝子がつくったたんぱく質が、「もともとのアミノ酸の並び方と同じか・アレルゲンとなる場合も同じ並び方か」を調べること。
ただ、この検査では新しいアレルギーは見つけられないそうです…
③たんぱく質、脂質など既知の主要成分の変化(微量元素は分析不可)
遺伝子を組み込んだことによって、「組み込む前の栄養成分と大きく変わっていないか」を調べること。
ミネラルなどの微量しか含まれない栄養成分は、分析できないので完全に同じと言い切れないのでは…と思います。
環境に対する不安
環境に対する不安は、以下の4つが挙げられます。
- 強い除草剤が広範囲で散布され、耐性のない植物ばかり枯れて、生態系に悪影響がある
- 野生植物と交配し、遺伝子組換え作物が野生化する
- 昆虫や土壌へに悪影響がある
- 薬剤耐性害虫や薬剤耐性雑草が現れて、更に強い除草剤が必要になる
遺伝子組換え作物が、自然界に広がることにより、他の生き物にも影響しますよね…
遺伝子組換え作物が、生態系に影響しないよう定められた「カルタヘナ法」があります。
ただ、輸入された遺伝子組換え菜種が輸送の間に零れ落ち、自生が確認されています。
また、遺伝子組換えの植物なら、まだ抜けばいいかもしれない。
しかし、ゲノム編集の魚が海に逃げ出したら、探しようがないとお話がありました…
ゲノム編集の魚が、山で養殖されていますもんね…
生産者としては、海で養殖していないから、問題ないというスタンスのようです…
ゲノム編集食品とは
ここから、ゲノム編集食品を紹介します。
遺伝子を操作したい位置に制限酵素を誘導し、DNAを切断・破壊する技術
簡単に言うと、狙ったDNAを壊して起こるはずのことを制限すること!
ゲノム編集で作られた例を紹介します。
- 高GABAトマト
- 除草剤に強い菜種
- 高オレイン酸大豆
- 早く育ち、筋肉の多い魚
紹介した食べ物は、すでに流通しています…
私は、スーパーで買い物する場合、養殖の魚は選ばないようにしています…
ゲノム編集食品の問題点
次に、ゲノム編集食品の問題点を紹介します。
ゲノム編集食品の問題点を、3つの項目に分けて紹介します。
- 食の安全性の問題
- 規制上の問題
- 倫理的な問題
それぞれ解説します!
食の安全性の問題
まず、ゲノム編集の食の安全性について紹介します。
食の安全性の問題は、以下の4つ!
- オフターゲットの可能性がある
- 遺伝子は複数の作用をする
- 複雑な遺伝子の働きの攪乱の恐れがある
- 届け出された食品の安全性は、オフターゲットの有無と主要成分を調べるだけ
なんの話?って感じですよね~
かみ砕いて解説します!
- 狙った遺伝子以外を傷つけている可能性がある。
- 遺伝子は、場所が変わると異なる働きをすることがある。
- 遺伝子を操作することで、他の遺伝子が影響を受ける可能性がある。
- 届け出された食品は、狙った遺伝子以外を傷つけていないかの確認と、主要成分を調べるだけで受理される。
つまり、遺伝子をいじったことで、不都合が起こる可能性がある。そして、届け出た場合に確認されるのは、狙い以外の遺伝子を傷つけていないか、主要成分がなにかのみ!
規制上の問題
次に、規制上の問題を紹介します。
規制上の問題は、以下の2つ!
- 検査が難しい
- 安全性・環境影響が審査されず、表示もされない
つまり、ゲノム編集食品か見分けがつかないこと。
そして、「安全性に問題がないのか」や「環境負荷がないのか」は検討されず、ゲノム編集と表示の義務がないので、私たちが選択しにくい!
ゲノム編集マークがないのはもちろん、「ゲノム編集で作った」と表示されているのを見たことがありません…
倫理的な問題
最後に、倫理的な問題を紹介します。
倫理的な問題は、以下の5つ!
- 生物を病的な状態にする
- 次世代に受け継がれる
- 種の絶滅につながる恐れがある
- ヒトの受精卵へ応用された例がある
それぞれ私の考えも踏まえて、解説します。
- 例えば、早く大きく育つ魚や家畜は、満腹を感じる遺伝子が壊されている。ずっと食べ続た結果、筋肉が大きく育ったっり、がんになってしまったりする。
- 子どもや孫の世代に、安全性が不明瞭なゲノム編集の食べものを引き継ぎたいか。
- 除草剤に強いゲノム編集された種類だけが、生き残る世界にしたいか。
- 生命の尊厳をどう考えるか。
私は、人間の欲のためだけに病気になる生き物がいることに耐えられません…
また、人の受精卵にゲノム編集技術が用いられていると初めて知りました。
詳細を知りたい方は、こちらをご確認ください。
「世界初のゲノム編集赤ちゃん」の正当性主張 中国科学者 – BBCニュース
受精卵のケースは、HIVを子どもに引き継がせないことが目的です…
どう考えるか、難しい内容ですよね…
ゲノム編集食品の規制と表示
次に、ゲノム編集食品の規制と表示を紹介します。
結論、ゲノム編集食品の届け出は、任意!
つまり、ゲノム編集食品を開発したら、申請せずに商品を販売して良い。
そして、ゲノム編集商品には表示義務がありません…
届け出をしている食品を、3つ紹介します。
食品名 | 届け出日時 | 届出者 |
グルタミン酸脱炭酸酵素 遺伝子の一部を改変し GABA含有量を 高めたトマト | 2020年12月 | サナテックライフサイエンス |
可食部増量マダイ | 2021年9月 | リージョナルフィッシュ |
高成長トラフグ | 2021年10月 | リージョナルフィッシュ |
いずれも、大学が設立した会社で研究された食品です。
ゲノム編集で作られた食品は、研修者さんの思い、そして努力の結晶であることは間違いありません。
しかし、自分がどう考え、どんな選択をするのかが問われています!
オーガニックとゲノム編集
続いて、オーガニックとゲノム編集を紹介します。
「オーガニックを選べば、遺伝子組換えを避けられる」と判断材料にしている方が、多いのではないでしょうか。
私も、オーガニックであれば遺伝子組換えやゲノム編集でない!と1つの基準にしています!
ところが、「ゲノム編集作物をオーガニックに含めていいのでは?」と、アメリカ・日本ともに議論されています。
現時点では、農水省の検討会で議論した結果、推進側委員を除いて全員が使用反対の意見。
また、ゲノム編集をオーガニックに不使用とする案で、パブリックコメントを募集したところ、大半がゲノム編集不使用案を支持。
つまり、推進派を除いた農水省の委員、一般市民ともに、ゲノム編集をオーガニックに入れることを反対したということ!
私はこの結果を知って、ホッとしました。
声をあげることは大切ですね!
私たちにできること
最後に、私が考える「私たちにできること」をまとめます。
私は、「知ること」・「考えること」・「選ぶこと」が必要だと考えています!
それぞれ解説しますね。
知ること
まずは、知ること!
この記事を読んでくださった方は、遺伝子組換えやゲノム編集の問題点を、なんとなくでも知れましたよね!
私は、遺伝子組換えやゲノム編集を否定したくありません。
なぜなら、研究開発に携わっている人たちの時間という命が費やされているから。
推進派の人たちは、遺伝子組換えやゲノム編集で世の中の問題を解説したいと思っているはずです。
そこで、遺伝子組換えやゲノム編集のメリットを紹介します。
メリット | 解説 | |
遺伝子組換え | 収穫量の増加 | 病気や虫に負けないため。 |
栄養価の増加 | 狙った栄養素を増やせるため。 | |
農薬の使用量低下 | 病気や虫に負けないため。 | |
農家の経済的な向上 | 収穫量の増加と、農薬量の減少のため。 | |
ゲノム編集 | 品種改良の制度UP | 従来の品種改良より、狙った通りに作れるため。 |
開発期間の短縮 | 従来の品種改良より、短期間でできるため。 | |
気候変動に対応 | 干ばつなどの異常気象に適応したものを作れるため。 |
参考:遺伝子組み換え作物のメリットとデメリット|バイテク情報普及会 (cbijapan.com)
考えること
次に、考えましょう!
私は、なぜ遺伝子組換えやゲノム編集に頼らなければならないのか、考えています!
簡単な話ではないことは、百も承知です。
しかし、気候変動による、収穫量の減少が問題ならば、環境問題を解決する行動をしなければ、根本的な問題は解説しないと思います。
選ぶこと
自分の考えがまとまったら、選択しましょう!
自分一人ができることは、小さなことかもしれません。
しかし、「考えて選択した」と自分は、遺伝子組換えやゲノム編集の問題に対して、行動している!と胸を張って言えることが大切だと思っています!
私が行っていることを、参考に紹介します。
- 知るために学ぶ
- 遺伝子組換えやゲノム編集をできるだけ選ばない
- 再生可能エネルギーを利用する
つまり、石油や石炭など、化石燃料を使わないエネルギーのこと!
温室効果ガスが排出されないので、地球温暖化対策になります!
まとめ
遺伝子組換えやゲノム編集の問題点を中心に、講演会で感じたことをまとめました。
おさらいします!
学びが深まり、改めて遺伝子組換えやゲノム編集を選ばない決断ができました!
みなさんの考えるきっかけや、選択の基準になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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